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ワイン総合研究所   渡辺  正澄
 
 

カツオは「目には青葉、山ほととぎす初ガツオ(山口素堂)」などというが、春先から秋の中頃まで結構“旬”は長い。油分の少ない春先のカツオは、四国や九州など西日本で好まれるが、関東以北では、夏から秋に油分がだんだんのってきたカツオを、好んでいるようだ。
 カツオは、1月から2月頃、小笠原沖を黒潮にのって北上する。三月には八丈島沖を、春から初夏にかけてはイワシを追って千葉沖に至る。 秋には金華山沖辺りまで北上した後、海水温の低下を嫌って南下して赤道方面に戻る季節的回遊魚である。江戸時代には、「まな板に小判一枚初鰹(室井其角)」や、「初鰹 銭とからしで二度涙」などと、値段が高くても粋な江戸の庶民には親しまれてきた。小判一枚は、今の6〜7万円位の価値で当時は超高級魚であった。現在では冷凍技術と輸送力によって、容易に新鮮なカツオを享受できる。このカツオとワインとの相性が、ピタピタと合ったときは、旨すぎてひっくり返りそうになる。春先に四国沖辺りで獲
れる上りカツオは、まだ油分が少なく、運動のエネルギ−としてのグリコ−ン(糖質)や旨味が多い。

   カツオのたれと白ワイン

 ある時、この上りカツオの刺身に、たれとして、”醤油(50%)+レモン汁(50%)+すりつぶしたショウガ(適量)“を漬けて、渋味(タンニン)がちょっとあるブルガリアのホワイト・マブルッドを冷やして(8℃)賞味した。この相性は素晴らしい!ブラボ−!ボニト−!(カツオの英語)、 その後で、ピタピタ・スキ−氏は絶句。しばらく寡黙になり、ただ、にこにこしながら相性を楽しんでいた。爽やかな酸味のワインには、かつおのたれに醤油のほかにレモン汁。ところで、カツオのたれに乳酸の多い醤油以外に、爽やかな酸味のあるレモン汁(クエン酸)を加えると、相手の白ワイン中に含まれている、やはり爽やかな酸味(リンゴ酸と酒石酸)になじみ易い。味わいの似たもの同士は相性がよい。

   ワインの飲用適温に関係する酸とタンニン

前記の三つの酸は、どれも冷やして味わうと旨く感じるので、“冷旨系有機酸”と呼ぶことにする。またこれらの有機酸(リンゴ酸、酒石酸)の含まれている”冷旨系“白ワインの飲用適温は、5〜9℃で美味しい。この5〜9℃の範囲の意味は、白ワイン中のタンニンが多くなるにつれて飲用温度は、徐々に上昇し、5・・・→9℃になるという意味である。

また乳酸 (温旨系有機酸と呼ぶ) やタンニンがだんだん多くなると”温旨系“赤ワインになり、飲用適温は室温(16〜18℃)でおいしくなる。
 では、冷旨系と温旨系のワインの真ん中の10〜15℃でおいしいワインは、”中間系ワイン“と呼ぶことにする。中間系白ワインは、冷旨系ワインよりも、タンニンが多くなる。乳酸がある場合もあるが、温旨系赤ワインより控え気味だ。中間系ワインとしては、タンニン多めの
白の辛口シャルドネや、ヴィラ・メルニック社のタンニンや乳酸がややある樽熟ヴィオニエなどがある。

 
   ワインは飲用適温で三つに分けられる

ワイン中のリンゴ酸が少なくて乳酸の多い例では、樽熟した白や赤ワインなどだ。特に赤の高級ワインは乳酸が多い傾向である。ワイン中の乳酸量はアルコ−ル発酵の後で起こる”マロラクチック発酵“で多くなる。この際、リンゴ酸が乳酸菌の作用で乳酸に変わる。
 つまりワインは、飲用適温から三つのタイプに分けて、冷旨系、中関係、温旨系となる。ここで申し上げたことは、これからのピタピタゼミナ−の続編「ワインと料理の相性表」で、食材、調味料、料理などに関連してご紹介する。

   食材の渋味や刺激味は、ワインのタンニンに合う

さて、カツオとワインとの相性で、ショウガの渋味、ニンニクやコショウの刺激味は白ワインのタンニンに合う。また、魚臭は、レモン汁中のクエン酸やビタミンC、ショウガ、ニンニク、コショウ、ワイン中のタンニンなどで消去される。また、ショウガ、ニンニク。コショウなどは、適量なら風味を良くして料理とワインの相性に感動を与える。

     食材、調味料、ワインなどにある乳酸

カツオが黒潮に乗って金華山沖辺りまで北上すると海水温が冷えてくる。カツオは、寒さを嫌って下りカツオとなり赤道あたりまで南下して行く。「わたしゃ寒さに“勝オ”じゃない!」と金華山沖辺りでうろうろしている頃が最高に美味。その時期は10月中旬頃。その頃の下りカツオ(トロカツオ)は、油分も乳酸も旨味(アミノ酸)も多いのは当然。これらの成分で、トロカツオの“乳酸”は、調味料の醤油中の“乳酸”、ワイン中の“乳酸”などと、基本的に共通する相性の成分だ。

     特製たれ

さて、ここで上りカツオであれ、下りかつおであれ、どちらにでも合う“特製たれ”をご紹介しよう。特製たれは、トロカツオと中間系ワインに合うように先ず作ることにした。 そこでまず中間系ワインとしてエドアルド・ロゼ・デ・ノア−ルを選んで試飲してみた。このロゼ・ワインは、タンニンがホワイト・マブルッドよりも多く、それにごく僅かに発酵炭酸ガスが残っている。シメタ! この炭酸ガスは、発泡性ワインのように、口中に入れた料理とワインを速やかに混ぜ合わせて相性の良さを促進させる。

このロゼ・ワインに合う特製たれは、醤油50mL+レモン汁50mLベースのたれに、すりおろしたショウガ、ニンニク、コショウ、さらにオリ−ブ・オイルを混ぜて作る。オリ−ブ・オイルは、トロカツオの油に合い同時にワインのタンニンとの相性もよい。上記の特製たれに追加したショウガ・ニンニク・オリ−ブ・オイルの割合は、ほぼ、ショウガ20グラム、ニンニク1〜2グラム、オリ−ブ・オイル10 mL位が目安だ。トロカツオに、この特製たれをつけて、上記の中間系ロゼ−を口中で合せる。 「旨い、旨い!」 まるで、カツオとロゼが、口中で「♪ 愛(相)シテイルヨ!」なんて歌っているような相性(笑)。そして、♪モシモシ亀ヨ(でなくて)、カツオさんヨ−、ドウシテソンナニ旨イノカ♪・・・酔っ払い状態で歌ってみた。

     特製たれで、冷旨系ワインと温旨系ワインに合わせるには

もし、この特製たれで、上りカツオと冷旨系辛口白ワインのホワイト・マブルッドと合せる場合は、このたれに冷旨系のレモン汁と塩を適量だけ追加する。さらにトロカツオと、例えば温旨系の赤ワインのバッカス・メルロ−と合せる場合は、特製たれに、少量の“わさび”を加える。わさびの刺激味はかなり強いので、少量加えるだけで、タンニンの多い赤ワインでも効果的に相性がよくなり、かっこいいおいしさになる。

     食材の成分は、常に変化していく

さて、カツオのように食材は時期により体内の化学成分は、常に変化して行く。そのため、料理とワインの相性の仲介役のたれのレシピ−も常に一定ではない。たれに使う調味料は微調整してから、料理とワインを楽しく味わう。その手間を喜んで研究しているうちに、いつの間にか”コツ“が分かり、料理とワインのある人生は一層楽しくなるだろう。さて皆様、カツオとワインで元気で愉快に“勝オ−!”ではありませんか。

  文献:ワインと料理の相性診断:渡辺、藤原、講談社。manyuraku.exblog.jp



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