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ワイン総合研究所   渡辺  正澄
 (2) ブルガリアワインの歴史

 ワイン生産国として、ブルガリア、特にギリシャ北東部の古代トラキア地方のワインの歴史は、非常に古く四千年から6千年前以前からである。 また現在では、最新のワイン醸造技術を持つ国でもある。考古学による調査で、ブルガリアの古い修道院所有の地下セラ−は、世界最古のワインセラ−として使われていたことが報告されている。それ以来、ワインセラ−は、古代ブルガリア人(トラキア人)の創造によるものとしてとして評価されている。

 古代のトラキア人は、さらにワイン醸造を黒海沿岸のギリシャ都市にまで普及させた。このトラキアの古代ワイン文化は繁栄しながら、さらにギリシャのワイン文化に影響している。 トラキアのワインの神“Zagreus(ザグレウス)”は、後のギリシャ神話で、ディオニソス(バッカス)と呼ばれるようになる。古代ロ−マ時代に、白ワインは黒海沿岸地方で主流であった。西暦500年頃からオスマンに支配され、繁栄してきたワイン醸造は衰退したが、キリスト教の祭事には大切とのことで生き残った。 1878年にオスマンからの解放で、この国のワイン醸造は、次第に発展して行くが、19世紀の終わりにぶどうの害虫、フィロキセラにより、再びワインの生産量は減少した。その後、フィロキセラに抵抗性のある台木でぶどう栽培は復活した。当時の醸造規模は小さく、また国内向けの普通品質のワインのみが造られていた。  しかし、その頃に経験した醸造と経営は、後にワイン発展の基本となった。

 1950年代に東欧のワイン生産国として、ぶどう栽培・ワイン醸造組合が組織され、国営のワイン栽培・醸造・販売・公社、Vin-Prom(ヴィンフロン)が、ブルガリアのワイン産業を統括した。 1960年後半から1970年にかけて、カリフォルニア大学のアメリン教授は、最新の醸造技術を指導した。当時のブルガリアは、コメコン(旧ソ連邦中心の経済相互協力機構)のワイン供給国として重要な役割を演じた。このコメコンの初期段階では、赤ワインの需要が多く、さらに樽熟した高品質赤ワインの需要も増加した。それに甘口白ワインや発泡性ワインの製造に必要なステンレスタンクなども設置されるようになった。

 1970年代の後半には、ヴィンプロンの輸出部であるヴィニンペクス(Vinimpex)は、世界のワイン消費各国に、安価で高品質のワインを輸出するようになった。輸出は、瓶詰以外にバルク(150リッタ−以上の容器)も行われた。 1990年に全体主義国家の崩壊によって、国有企業のヴァンプロンは民営化された。1996年の始めまでは、民営化に時間がかかり、ゆっくりとした発展であったが、UDF(民主連合)が、1996年の10月に勝利すると民営化の速度は、勢いを増してきた。これによって、土地や多くのワイナリ−は元の所有者に返還され、民営化と販売体制が整備された。 国営ではない民営の会社所有の品質の優れたブルガリアワインは好評を得て、今や西欧や世界市場に進出している。

 1980年代にアメリカや日本などへの輸出によって、ブルガリアは、高品質で価格も手頃なワインの生産国とし注目されてきた。さらにE U加盟後は、西ヨ−ロッパやアメリカとの交流が増すなかで、著名なフランスの醸造家ミシェル・ロ−ランなどのアドバイスや、最近では多数の若手がフランスやカリフォルニアなどで、醸造技術を学んで帰国してブルガリアの洗練されたワイ
醸造に貢献している。

 この国の北部の気候は涼しい冬と暑い夏の大陸である。これは、黒海と地中海の影響により南は穏やかである。 ローカル丘陵地は、理想的な微気象で、最高品質の葡萄を成長させるために非常に適した条件を作り出す良質の土壌と組み合わせている。 土着のぶどう品種のみならず、フランスやドイツの高級ぶどうも栽培されてきた。またぶどう生育期の天候は良好で、ぶどう栽培に有害な病原菌の被害は少ない。さらに日照時間や土壌の条件もよい。 現栽培されているぶどう品種は、固有の白ではミスケット、赤ではガムザ、マヴルッドなどがある。外来品種としては、赤のカベルネ・ソ−ヴィニヨン、メルロ、白では、ムスカット・オトネル、リ−スリング、ソ−ヴィニヨン・ブラン、ユニブラン、ヴィオニエ、トラミナ−などが栽培され,それぞれ好評を得ている。

 醸造方法の改善では、回転式のステンレスタンクや樽もあり合理的な醸造が行われている。瓶詰方法も、火入れ殺菌ではなく、低温無菌濾過瓶詰が多くなっている。ブルガリア第二の都市のプロヴディフには、最も有名なワイン醸造学研究所がある。 この研究所がブルガリアワインの品質向上を、応援している。優良ワイナリ−の例では、Zagreus, Villa Melnik ,Saint’ Ilia, Edogard Mirogllio, Yambol などがある。この国のワイン醸造の進展とワインの輸出の未来は明るい。何世紀もの古い伝統と巨大な自然の潜在力と相まって、この傾向は実を結びつつある。 なお、ブルガリアで生産されたワインの約80%が輸出量されている。ブルガリアワインは、現在、中国、日本、西ヨーロッパ、米国、カナダなどの消費者の間で人気が上昇してきている。 

 昨年(2013年)、ブルガリアワインの日本への輸入量は、瓶詰ワインの14万7千リッタ−以上、バルクワイン (150リッタ−超の容器)は、約12万8千リッタ−で年々増加傾向になっている。


文献1.酒販ニュ−ス:第1834号、2014年、2月11日。2.www.snooth.com/region/buigaria。3.WANDS:No.30.Sep.1999。4.www pantheon.org/articles/d/Dionysus.html。5. 2013日本ソムリエ協会教本。6.Ambosi Dettweiter et:al:Farbatlas Rebsorten,1994,Ulmer, Germany.



(1)ブルガリアワインの大要 | (3)ワインと料理の相性関係―I (4)ワインと料理の相性関係―II(5)ワインと料理の相性関係III | (6)ブルガリアのワイン産地(7)ブルガリアのぶどう品種 |(8)ワインと健康(9) 調味料によるマスキング(被覆)効果―I(10) 調味料によるマスキング(被覆)効果―II