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ワイン総合研究所   渡辺  正澄
 (3) ワインと料理の相性関係―I
    合うということは?

 ワインと料理が合ったとき、ワインでも料理でもない、素晴しい味覚が口中に広がり、人生が素晴しくなったような楽しい気分にさせられる。合わないときは、苦味や渋味を感じたり、生臭味がでたりで、二日酔いの朝のように気分もがっくり落ち込む“哀傷(アイショウ)”となる。
 
そもそも「ワインと料理が合う」とは一体どういうことなのだろうか。ワインと料理が、ピタ・ピタと合ったときは、ワインだけの味よりも、また料理だけの味よりも、その二つがミックスされる事によって、何倍にもおいしくなり、笑顔になるか、感動して嬉し涙がでそうになる。あるとき、甘口のリースリングと、新鮮な白桃を合わせて味わった。なんと、そのリ−スリングが、桃の香りとの共演で素晴らしい華やかな芳香に満ち溢れてきたのだ。思わず楽しい気分になった。こんな例は、いくらでもある。油ののった下りカツオのたたきに、醤油・レモン汁・ニンニク・ショウガのたれと、例えば冷えた辛口ロゼ−の“エドアルド ロゼ−・デ・ノア−ル”と合す!うまい!これがピタ・グラスの定理だと!?
 
さて筆者と藤原正雄(文献1〜5)は、すでに、ピタ・グラスの定理、いや「ワインと料理の相性」理論とその相性表を提案してきた。ここでは、この提案を素晴らしいブルガリアワインにも応用して申し上げる。今回の文章は少し理屈ぽいが、ご納得頂ければ今後は心まで幸福感で、なんだかしびれてくるかも知れない。この相性理論の報告を終わると、再びワインと料理のピタ・ピタな楽しい相性を続報したい。

    食材の成分は常に変化していく:ワインと料理の相性表

 ワインは、合わせる食材、調味料、調理方法などの仲介によって、料理との相性は、光陰矢のごとし、「アッ」と言う間にどんどん変化していく。さらにワインの醸造方法、ワイン中の酸の種類、ワインの飲用温度などによっても料理との相性はさまざまな味わいに! この変化に対応するには、後記の「ワインの“飲用適温”と“料理の相性“の基本表」が役に立つ。
 
相性表中の行で左側にはリンゴ酸や炭酸ガスなどの多いさわやかな白ワインが見られる。中間から右側へ移行するほど、ワイン中には、乳酸、グルコン酸(貴腐ワイン)、タンニン(ポリフェノ−ル)などが多くなり、ワインの色調も濃くなり黄金色の甘口白や、樽熟した赤ワインになっていく。
 
各種食材も、誕生まもない若い時期にはさわやかな新鮮な味わいで左側にあり、成熟するほど中間から右側へ移行して、コク、しつこさ、刺激などのある香味が増していく。
 
また、平均寿命の短いもの(熟成の早いもの)ほど、さっぱりした成分(左側)からなり、寿命の長いもの(熟成の遅いもの)ほど、右側に移行して、こってりしてくるか、あるいは刺激味が強くなる。
例えば、タコ、イカ、牡丹エビなどは左側に、貝類(ホタテ)、伊勢エビ、オマ−ルエビなどは、コハク酸や乳酸が多くなり、表中の中間系から温旨系近くまで移行する。
 
鳥獣肉類では、左側から右側に移るに従って、馬-> 豚 -> 羊- > 牛 (トゥルヌド > サロイン)-> 野鴨 となり、乳酸や脂肪の成分もしつこさを増す。 また油脂では、サフラワ−油-> オリ−ブ油(ごま油)-> バタ−> ラード-> ヘッドとなり、基本表の行の右側にゆくほど、タンニンの多いワインや刺激味の強いスパイスに合い易い。チ−ズでもフレシュなさっぱりしたタイプのモッツアレラやフロマ−ジュ・ブラン(左側)->こくのある白カビタイプのカマンベ−ル(中間->シェ−ヴル->ウオッシュタイプ-> 刺激味の強い青かびチ−ズ(右側)へとなる。
野菜やハーブでも新鮮なサフランや青葉(左側)->乳酸発酵させたすぐきやザワー・クラウト(中間)->種子やシ−ドスパイス(右)のような成熟粒や、糖分やタンニンの多い熟成果実(ぶどう、ブル−・ベリ−)となる。
調味料では、クエン酸の多いレモンやスダチ、ショウガ(左側)->ポン酢(中間)->乳酸発酵した醤油やみそ、わさび、チリ−ソ−ス(右側)のようになる。

    似たもの同士は、率直に相性がよい

 溶剤の化学の基本原則では、「似たものは似たものを溶かす」というが、これを料理とワインの相性表中では、縦の列で見ると、さっぱり系同士は冷旨系縦列方向に、中間系は中間系縦列に、温旨系は、温旨系縦列に示されている。(冷旨系、中間系、温旨系の意味については、下記にご紹介する)
そして動植物や発酵微生物などの生体で初期に生成された成分同士(表左側縦列=冷旨系)、中期に生成される成分同士(表真ん中縦列=中間系)、後期に生成される成分同士(表右側縦列=温旨系)は、それぞれ相性が良いことが分かる。この表は、ノ−ベル賞クラスではなく、“ノーメル賞クラス”だと、冷やかされるが、ワインと料理の相性の“一般原則(文法と同じ)”の表であることに変わりない。

 

文 献
1.渡辺正澄:「ドイツワインと料理の相性」、ドイツワインケナ−クラブ会報 P.4−5、2011.11.20.
2.渡辺正澄:藤原正雄、「ワインと料理の相性診断」、第五刷、講談社、1992.7.28.
3.渡辺正澄:「醸造方法からみたワインと料理の相性」、平成11年度 シニアソムリエ・シニアワインアドバイザ−呼称資格認定テキスト、45〜82,一般社団法人 日本ソムリエ協会、1999.11.
4.渡辺正澄、藤原正雄:Sommelier, No.78 30-33,2004.
5.渡辺正澄:マスタ−・オブ・ワイン会・講演「料理とワインの相性」、22.02.2014.

※ 相性表 (拡大表は下の図をクリックしてください。)



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