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ワイン総合研究所   渡辺  正澄
 (5)ワインと料理の相性関係-III
    ワイン・食材・調味料の相性関係
    中間系調味料の作り方の一例:ポン酢

 さて、上記のように新鮮でさっぱりした旨味のある食材や、新鮮な香りのある調味料は、基本表の左側に、また、よく熟して苦味や刺激味(油脂分)のある食材や調味料は右側にある。このことは、表左側と右側の調味料をほぼ半分ずつ混ぜて作ったソ−ス(たれ)は、中間系のワインや食材に合い易いことを示している。例えば、醤油(温旨系)とお酢(冷旨系)を半々に混ぜた“ぽん酢”は中間系になる。

    酸味・甘味・苦味の一致

 ワインの酸味・甘味・苦味に対して、ソ−ス(たれ)の酸味・甘味・苦味の濃さが一致していると合わせ易い。例えば「ワサビ」をちょっと利かせた酸味基調の江戸前鮨には、レモン(50%)・醤油(50%)のたれでで、辛口の冷旨系から中間系の白やロゼ−などを合わせる。江戸前鮨でも、レモン(30%)・醤油(70%)のたれで、ワサビを多めに加えると、赤ワインの方が合ってくる。
 一方、関西鮨や、一般的な日本料理や正月料理など、甘味基調の料理の場合は、甘口の冷旨系から中間系の白かロゼ−が合わせ易い。なお、江戸前鮨と赤ワインで合わせる場合は、醤油に「ワサビ」の量を多めにした「たれ」を使うとよい。

    調味料は相性の仲介役:調理方法とマスキングによって相性は変わる

 食材は、調味料と調理方法により、そのテクスチャ−が変わる。マリネ、煮る、焼く、蒸す、油で炒める、揚げる、調味料によるマスキングなどによって、基本表右側にある素材であっても、左側の冷旨系調味料を多くすると、冷旨系ワインに合うようになる。

    食材中の乳酸を、多量のお酢(酢酸)で隠

 サバ(鯖)は乳酸の多い魚である。それゆえ、サバの塩焼きは、醤油+レモン汁のタレで、中間系のロゼや赤ワインに合い易い。しかし、しめサバのように、お酢でしめると、サバの体内での酸組成は酢酸(冷旨系)が乳酸(温旨系)よりも多くなり、当然ワインもリンゴ酸の多い冷旨系白ワイン(シャルドネ)に移行する。

    生クリ−ムや生卵によるマスキング

 例えば、すき焼きなら赤ワインがよく合うけれども、すき焼きに生卵を添えて頂くマスキングする)と、例えば、甘口の白ワイン(ムスカット・オトネル)に合う。ビーフ・シチュ−と赤ワインは相性がよい。しかし、このビ−フ・シチュ−に、トマトや生クリ−ムなどを加え、塩こしょうで味を調えると、ビ−フ・ストロガノフ風の味わいに変り、中間系辛口白(ホワイト・マブルッド)に合ってくる。また、このビ−フ・シチューに甘味(糖分)がプラスされると、甘口白のムスカット・オトネルに合わせ易くなる。つまり、この相性の基本表を用いて新しい料理とワインの組合せも創造できるのだ。

    乳化作用のある調味料は、刺激味や渋味(苦味)などを隠す(マスキングする)

 さらに補足すると、基本表の右側(温旨系)の激辛で刺激が強すぎる調味料を用いるカレ−やチリソ−ス(たれ)、とうがらしなどの超激辛料理は、タンニンの多い赤ワインでも負けることがある。こういう場合は、乳化作用のある生クリ−ム、サワークリーム、クリームチーズ、生卵、または常温で液体の植物油などで、刺激味をマスキング(被覆)していくと、ワインも重い赤からロゼ−やスキンコンタクトした中間系白へ、さらに冷旨系白に合わせることができる。

    甘味は刺激味や渋味(苦味)などを隠す

 また、激辛料理に砂糖をプラスすると、甘口白ワインに合わせることができる。“甘味は刺激味や渋味(苦味)などを隠す”(マスキング)という相性の法則がある。こういった効果は、苦味の強いコ−ヒ−に生クリ−ムを加えたとき、味が丸く滑らかになることでも分かる。

    発泡性ワインの力

 瓶内二次発酵やタンク発酵で得られる発泡性ワインの炭酸ガスは、その高い圧力で、口中に入った料理を、急速にマリア−ジュさせる。発泡性ワインは、食事の始めから終わりまでの料理と相性がよいとよく言われる。例えば、牛しゃぶしゃぶにぽん酢で味わう場合、中間系ワインの白やロゼ−がおいしい。このぽん酢醤油にブルーチーズを溶かすと、辛口の赤に合ってくる。ところが、冷旨系のスパ−クリングワインは、牛しゃぶのブル−・チ−ズ入りのぽん酢醤油の料理にも、ピタ・ピタと合う。炭酸ガスによる相性の即効力には、“あわ”ててしまう。

    高級樽熟ワインには、黴チ−ズとフル−ベリ−などを添えて

 なお、樽熟高級赤ワインと牛ステ−キに、ブル−チ−ズやバタ−を添えも勿論おいしい。また樽熟高級赤ワインとの相性で、ブル−チ−ズに熟した果実(ブル−・ベリ−、ブラック・チェリ−、オレンジ)など、またはそれらのマ−マレ−ドを添えた料理も素晴しい(甘味は渋味を隠す)。これらの料理は、簡単に作れて健康的でもあり、ちょっとしゃれた料理でもある。ブルガリアの高級赤ワインと、楽しくどうぞお試し頂ければ幸いである。

  

文 献
1.渡辺正澄:「ドイツワインと料理の相性」、ドイツワインケナ−クラブ会報 P.4−5、2011.11.20.
2.渡辺正澄:藤原正雄、「ワインと料理の相性診断」、第五刷、講談社、1992.7.28.
3.渡辺正澄:「醸造方法からみたワインと料理の相性」、平成11年度 シニアソムリエ・シニアワインアドバイザ−呼称資格認定テキスト、45〜82,一般社団法人 日本ソムリエ協会、1999.11.
4.渡辺正澄、藤原正雄:Sommelier, No.78 30-33,2004.
5.渡辺正澄:マスタ−・オブ・ワイン会・講演「料理とワインの相性」、22.02.2014.

※ 相性表 (拡大表は下の図をクリックしてください。)


<渡辺 正澄 プロフィール>

農学博士(京大)、ワイン総合研究所 代表取締役社長、ワインマスター研究会 代表。
山梨大学工学部応用化学科卒。ドイツ・スペイン国際学会等でワインと料理の相性や醸造学などの学術研究を発表。著名な日本のエノロジストの一人として評価される。
国際ワイン醸造経営協会日本理事、社団法人 日本ソムリエ協会名誉ソムリエ。
1978年、日本醸造協会技術賞 受賞。著書に「ワインと料理の相性ピタ・ピタ講座」 「ワインの常識がガラリと変わる本」「ヨーロッパワイン美食道中」などがある。


 
(1)ブルガリアワインの大要 (2)ブルガリアワインの歴史 | (3)ワインと料理の相性関係―I (4)ワインと料理の相性関係―II | (6)ブルガリアのワイン産地(7)ブルガリアのぶどう品種 |(8)ワインと健康(9) 調味料によるマスキング(被覆)効果―I(10) 調味料によるマスキング(被覆)効果―II