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ワイン総合研究所  渡辺 正澄
 


5月から10月頃までが旬のスルメイカ(以後、“イカ”と略す)を中心にした様々なサラダを作り、ワインとの相性を楽しむことにした。イカが、でしょうか? ちなみにイカは、食べて美味しいだけでなく、肥満やガンの予防、美肌や血圧安定などの効果があり健康によい。
* 成瀬宇平、イカの健康効果、: homepage3.nifty.com/silver_sakai/health/health14-6.pdf
ただ、イカを生で食べるときは、いったん冷凍して寄生虫(アニサキス)からの心配をなくしておきたい。

先ず、相性実験に使用した食材と調味料は、下記のようである。
<イカの下ごしらえ(調理)>
大きめなイカは、内臓(ワタ)、軟骨、目、口などを除き、皮に美肌効果のある皮付きのエンペラを含む胴体とゲソ(足)を、軽く熱湯につけて冷水で冷ます。胴体は、細めの輪切りにする。エンペラは真ん中を二つに分けて、横に1 c m幅に切り分ける。ゲソは吸盤の多い下部は切り捨て、2本ずつに切り分ける。
<ミックス・ピクルスの中身>
使用した市販のミックス・ピクルス{瓶内総量(525 g )* の固形量(275 g )}は、小ニンジンの輪切り、小型キュウリ、赤パプリカやホワイト・ブロッコリの小口切り、小タマネギ(さくらんぼ大)などを、醸造酢、塩、砂糖(小量)、ビタミンC などでミックスしたもの。 (*トルコ産、富士貿易輸入) このミックス・ピックルスには、酢(酢酸)がたっぷり含まれている。ところで酢は健康によい。疲労回復、消化液の分泌促進、糖尿病や肥満の防止、血圧低下などの効果がることが報告されている。
www.健康酢.jp/100/ent1678.html , hadalove.jp/vinegar_effect-17234
<練りウニ(瓶詰) * の用意>

練りウニの瓶詰(45g)は、塩ウニ、エチルアルコ−ル、卵黄、調味料などを混ぜて瓶に詰めたもの。採りたての生ウニは、グリコ−ゲン(糖質)が多い冷旨系 **食材だが、エチルアルコ−ルを添加後に貯蔵されると、イカのグリコ−ゲンは減少して乳酸(温旨系 **)が生成されてくる。実際に乳酸の多いフィノ・シェリ−とは、ピタリと合う。この練りウニにレモン汁(冷旨系)を、多めに加えて混ぜると、冷旨系の酸味に傾いて、さっぱりした酸味のシャルドネに合ってくるだろう。 (*下関、小川ウニ(株)製)
**冷旨系と温旨系の説明は、 www.Bulgaria-wine.Jp を参照)
<エキストラ・ヴァ−ジン・ オリ−ブ・オイル(以下、オリ−ブ・オイルと略す)
オリ−ブ・オイルの外に、 マヨネ−ズ、卵黄、 プチ・トマト 、 ケイパ−、 レモン汁、 オレンジ汁、リンゴ・ヴィネガ−、 塩、コショウ、キウイ・フル−ツ、 イチゴ、アメリカン・チェリ−、ブル−・チ−ズなどや各種ワインを用意した。

    イカ、プチ・トマト、の塩・コショウ、レモン風味のサラダ

イカ1杯を上記のように、下ごしらえしておく。プチ・トマト16個を半分に切る。
これらを皿にいれて、塩・コショウ適量、レモン半個分の果汁、リンゴ・ヴィネガ−・スプ−ン1杯、オリ−ブ・オイル・スプ−ン1杯を加えて混ぜてできあがり。オリ−ブ・オイルは、ワインの渋味(タンニン)との相性が良い。料理も滑らかになる。このサラダと合せたワインは、冷蔵庫で良く冷やしたソヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、ホワイト・マヴルッドなどだ。このサラダは簡単な料理だが、これらの辛口白との相性はぴったりだ。

   
    イカ、塩・コショウ、キウイ・フル−ツ・濃縮オレンジ風味のサラダ

イカ1杯を上記のように、下ごしらえしておく。キウイ・フル−ツは、皮をむき、縦長に数枚に細く切り、さらに横に4等分に切る。紙パック・オレンジ汁を冷凍庫で凍らせてから取り出して、しばらく室温に置き、パックの口を下にして垂れてきた濃縮果汁* の、スプ−ン2〜3杯分(20〜30 mL)を用意する。用意したこれらを総て混ぜる。 * (パック入りの果汁を冷凍してから、常温に戻す過程で、糖分、酸、アミノ酸、香気成分などは、果汁中の水分が溶ける前に溶けだすことを利用) このサラダは甘味基調なので、やや甘口のムスカット・オットネルと合せてみた。

酸・甘・苦味の一致 なお、このサラダは、濃縮果汁の採取時間で糖や酸の濃度が、いくらか異なる。もし、ワインに対してサラダが甘すぎたら、レモン汁を適量加えて微調整する。また、ワインの渋味に対して、サラダの渋味が欠けていたら、サラダにコショウを追加して混ぜる。その上、フル−ツの甘味と ムスカット・オットネルの甘味が、憂いなく一致したら、料理とワインの酸・甘・苦味の総てが一致したことになる。このとき最上の相性となり、心も、はずんでくる♪

 

   
    イカとミクックス・ピクルスとイチゴのサラダ

イカの下ごしらえに、市販の瓶詰品中の液汁を除いたミックス・サラダ(約70g )と同量のよく熟した中型イチゴの輪切り、ショウガ汁スプ−ン1杯(10ml )、コショウやや多め、オリ−ブ・オイル・スプ−ン1杯分などとよく混ぜる。この際、イチゴの一部は、潰してジュ−スにしてもよい。こうやってイチゴを絡ませたサラダは、春の赤い花園のような色彩と、すがすがしい香りが伴う。このサラダは、やや甘口のムスカット・オトネルや、 バブル・スパ−クリング・ワインのムスカテロやロゼットなどに合い易い。”イチゴ“イチエ(一期一会) と言わないでくださいね!また作って合せたくなる心温まる優しい相性だ。

なお、このイチゴ入りの料理にコショウを使ったのは、合わせるワインの渋味に、イチゴの渋味が足りないためである。
また、サラダの酸味・甘味・渋味が、ワインの酸味・甘味・渋味と一致しないときは、サラダに、レモン汁、ハチミツ(砂糖でも可)、または、コショウなどのどれかを、ちょっぴり加えて調和させる。このちょっとした調整で、料理とワインの美味しさが、ガラリとよくなる。


 

   

フル−ツとワインを合せるコツ
ところで、フル−ツは、産地や品種によって、酸・甘・苦味に多少の問題がある。
トロピカル・フル−ツのパイナップル、マンゴ−、バナナなどの糖分は十分あるが、甘口ワインにあるような酸味や渋味が足りない。そのため、酸味やタンニンのあるやや甘口ワインと合せるには、これらのフル−ツに、酸味としてレモン汁を、渋味としてコショウを補うと、例えば、やや甘口のムスカ ット・ オット ネルなどとの相性がよくなり、鼻歌気分になりそうだ。
なお、 イチゴは甘味と酸味はあるが渋味に欠ける。そのため、渋味のある甘口白ワインに合わせるには、渋味としてコショウ、ニンニク、トウガラシ、ワサビなどや、さらに、ブル−・チ−ズ、チェダ−などのいずれかを補うと、笑顔たっぷりの相性になってくる。
酸・甘・苦味がバランスよく含まれているフル−ツ
一方、甘口白ワインや赤ワインと、大変合せ易いフル−ツには、酸・甘・苦味がバランスよく含まれているアメリカン・チェリ−(ブラック・チェリ−)、ブドウ、ブル−・ベリ−などがある。
下記は、 イカとミクックス・ピクルス、アメリカン・ チェリ−、さらにブル−・チ−ズを加えたサラダの例である。

    イカとミクックス・ピクルスと、アメリカン・チェリ−&ブル−・チ−ズのサラダ

この料理には、白の甘口と辛口の赤ワインの二つのタイプに合せる 。
イカとミックス・サラダは前記と同様に用意して、ミックス・ピクルスと同量のアメリカン・チェリ−を加える。アメリカン・チェリ−は、半分に切って種を取り、さらに4 等分に切る。切り分けたアメリカン・チェリ−の一部は、ホ−クで圧搾して紫赤色(ガ−ネット)のジュ−スにして、ミックス・ピクルスに染み込ませると、相性は一層効果的だ。少量のブル−・チ−ズは、小さく崩して、サラダ全体に散らす。 ブル−・チ−ズを加えると、このサラダは、黄緑色でやや甘口白のムスカット・オットネルや、ナント!ガ−ネット色辛口赤ワインのカベルネ・ソ−ヴィニヨンにも合ってくる。
甘味は渋味(刺激味)を消す
この二つのワインには、全く異なるタイプだが、相性の“文法”、つまり 「甘味は渋味(刺激味)を消す」 という共通の原則が隠されている。 つまり、ムスカット・オットネルの甘味(糖分)は、アメリカン・チェリ−の甘味に合いながら渋味(タンニン=ポリフェノ−ル)も隠してしまう。またこのムスカット・オットネルの甘味はブル−・チ−ズの刺激味も消す。一方、カベルネ・ソヴィニオンのタンニン(渋味)は、アメリカン・チェリ−のタンニンにも甘味にも合う。また、ブル−・チ−ズの刺激味(渋味)は、アメリカン・チェリ−のタンニンに合う。

なお、イカは、これらの相性実験中でも、イカ本来の味わいは健全で、甘味にも渋味(刺激味)にも仲良く付き合っている。すでに、申し上げたように、ボルド−の魚介料理では、しばしば、チ−ズも使われているが、今回の例でも、チ−ズは、肉類だけでなく、魚介やフル−ツの料理にも、なじみ易いことを再確認した。



 

   
    イカと瓶詰ウニのサラダ(2人分)

イカ1杯は上記のように下ごしらえをしておく。これに瓶詰ウニをスプ−ン1杯(10ml )レモン汁・スプ−ン1杯、マヨネ−ズ・スプ−ン1杯などを皿に入れて混ぜ合わせ、さらに小型卵黄1個を混ぜて乳化させたソ−スにする。それにケイパ−適量、コショウ適量、大葉3枚をちぎって皿に散らす。

ウニのおいしさ、マヨネ−ズの味わい、ケイパ−の香り、コショウ、大葉などの風味を生かしたこのソースを絡ませたイカは、味わい深いサラダになった。このサラダに、新鮮でコクのあるホワイト・マヴルッドや、 すばらしいミネラル香のするシャルドネ・グラン・プリと合せた。 どちらのワインも、イカンナキおいしい相性になった!



 

   

さて、先日、わが調理室では、調理長はじめ、調理人が、様々なイカサマ?サラダを準備中だった!客の一人が、待ちきれずに、「モウイ〜カイ?」・・・ すると、調理室をハイカイしていた調理長が、ハイカラにハイカットした、イカにもおいしそうなイカサラダを、テ−ブルに並べた。 さあ!みなさま、変なだじゃれを気にせず、元気で、 カンパ〜イ! しましょう! ♪ナズトラベ! ♪・・・


渡辺 正澄 プロフィール

農学博士(京大)、ワイン総合研究所 代表取締役社長、ワインマスター研究会 代表。
山梨大学工学部応用化学科卒。ドイツ・スペイン国際学会等でワインと料理の相性や醸造学などの学術研究を発表。著名な日本のエノロジストの一人として評価される。
国際ワイン醸造経営協会日本理事、社団法人 日本ソムリエ協会名誉ソムリエ。
1978年、日本醸造協会技術賞 受賞。著書に「ワインと料理の相性ピタ・ピタ講座」 「ワインの常識がガラリと変わる本」「ヨーロッパワイン美食道中」などがある。


   
バックナンバー 
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