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                                                               ワイン総合研究所  渡辺 正澄  
 
 
     外人と牛しゃ

よく外国から来たお客様に牛しゃぶを振る舞うのだが、彼らの調味料の好みが国によって、いささか異なる事に気がついた。例えばドイツ人は、牛しゃぶとポン酢の場合、ドイツの白のカビネットの辛口(トロッケン)で大喜び。ところが、ギリシャ人夫妻からは、牛しゃぶのたれ(ソ−ス)に、なんと、塩・こしょうにレモン汁を所望された。また、別の折に、来日回数の多いフランスの醸造家のムッシュ・ジャンとのワイン会で、彼はポン酢にプラスして、なんとブル−・チ−ズの味付けを提案した。しかも相性ワインに、彼は樽熟した渋味(タンニン:ポリフェノ−ル)の多い高級白ワインを推薦した。


 もし、ブルガリア人なら、ヨ−グルド系ソ−スで、バラの香りのするロ−ズワイン白などを合せて乾杯!(ナズドラベ!)となるだろう。イタリア人なら、肉(カルネ)に、ジェノヴェ−ゼ・ソ−スやトマト−ソ−スで辛口白、或いは、醤油・バルサミコ酢・ソ−スで赤と合わせたら喜ぶに違いない。
 さて、スペイン系調味なら、醤油・シェリ−・ヴィネガ−・ソ−スあたりがどうであろうか? スペイン名物のにんにくの効いたアイオリ・ソ−スなら、タンニンの多い白などに過激に合い、“歌劇”の“カルメン”もニッコリしてくれるだろう。考えれば考えるほど、牛しゃぶは、日本料理ブ−ムの国際化の波にのって、その国の調味料やワインに合わせた料理にふさわしく、今後発展するのではと思うと、わくわくしてくる。

 「わが輩は、牛しゃぶのソ−スである」夢物語

 あるとき、東京の牛シャブ専門店のワイン会で、ドクタ−・ナ−ベは、パーティのウエルカム・ドリンクを空き腹に飲んだためか、うっかり酔っぱらて、テーブルに腰かけたまま眠込んでしまった。彼は寝ている時、「わが輩は、牛しゃぶのソ−スじゃ」と自称するソ−ス達のシンポジウムの夢をみていた。
 夢に先ず現れたのは、ポン酢・“社長”の自己紹介、「自分は、日本特産の柑橘系のさっぱりしたクエン酸やリンゴ酸、それに醤油中のこくのある乳酸などの酸を中心のバランスのよい体質。だから、リンゴ酸や乳酸のある辛口白だと最適の相性にな.る・・・」。すると、「おだまりなさい!俺は、こってりしたごまだれだ。“だれ”だと思っているんだ? 俺様の性格は、ま、醤油や味噌の乳酸と、みりんの甘味によって、意外とまろやかだよ。乳酸系だから、乳酸の多い赤ワインとは、ばっちりだ。それにごま油は、赤ワインのタンニンとは仲がよい。意外にも、白の甘口ワインからも、好かれちゃってさ。みりんのおかげだよ。」、前述のように相性の法則では「甘味は渋味を隠す」のである。 
さて、議長のドクタ−・ナ−ベは、あくびをしながら、「牛しゃぶと言えば、ポン酢とごまだれですね。ポン酢なら辛口白ワインで、ごまだれなら赤ワインと甘口白!なるほどすばらしい。では、今夜は、牛しゃぶパ−ティがあるので、これにて終ります。
ア・グッド・イブニング!(良き今夜をお楽しみください)」と閉会宣言をすると、途端に「議長、議長、異議あり、まだ討論が充分ではない!」と、方々から手が上がった。なんと、スペイン系旦那のセニョ−ルの「醤油・シェリ−・ヴィネガ−・ソ−ス」、イタリア系マンマのシニョ−ラ・「醤油・バルサミ“子”・ソ−ス」、ブルゴ−ニュの初老のムッシュ・「ディジョン・マスタ−ド」などが口をとがらしている。

 「ポン酢」、「醤油・シェリ−・ヴィネガ−・ソ−ス」、「醤油・バルサミコ酢・ソ−ス」

 その時「ナ−ベ!起きてください!」で、目を覚ました彼のテ−ブルの前に、まさに、牛しゃぶと、なにやら黒っぽいソ−スが、三つの大皿の中に置いてあった。
 これは、あらかじめ、料理長に作ってもらったレシピ−だと彼はすぐ分かった。
 (1)  はポン酢
 (2)  は、醤油(50%)+シェリ−・ヴィネガ−(50%)・ソ−ス
 (3)  は、醤油(50%)+ バルサミコ酢(50%)・ソ−ス
牛しゃぶを、この三つのソ−ス(たれ)に浸してから、一同、様々のワインと合せた。

 相性くらべ

(1) ポン酢は、タンニンの少ないソ−ヴィニヨン・ブランやミュスカデなど、飲用適温が7℃前後に冷やしたワイン。このポン酢に、一味辛子やこしょうを適量加えると、心地よい渋味(タンニン)のあるワインに合ってくる。例えば、ブルガリアのザグレウス社のホワイト・マブルッドや、メルニック社のヴィオニエなど。これらのワインは、9〜12℃でおいしい。

(2) 醤油・シェリ−・ヴィネガ−・ソ−スは、樽熟ワインや、ホワイト・マブルッドのように、心地よいタンニンのあるワインがおいしい。シェリ−・ヴィネガ−のタンニンの量は、牛しゃぶにこのソ−スを浸して味わうホワイト・マブルッドのタンニン量とほぼ一致。牛しゃぶとこのソ−スで味わうホワイト・マブルッドは、120%以上の相性だ。牛しゃぶもワインも、このソ−スの力で、見事な風味が味わえた。さらにこのソ−スに、顆粒の鶏がらスープの素を適量追加すると、150%以上の相性!!スープに含まれるアミノ酸が、相性の向上に協力している。
 こんな時は、ひよっと 次のような“笑歌”ができた。

“♪久かたの光のどけし牛鍋を囲めば楽しワインとしゃぶ”
らん♪

ところで、(3) 醤油・バルサミコ酢・ソ−スにも、顆粒の鶏がらス−プとさらにちょっぴりこしょうを隠し味的に加えると、大変良い感じのソ−スになる。牛しゃぶに、この顆粒入り・こしょう・ソースに浸して、ザグレウス社のマブルッド・プレミアム・リザ−ブに合わせた。おいしい!このワインの飲用適温は、16℃である。
 
バルサミコ酢は、ワインのアルコ−ル発酵後、マロラクチック発酵(MLF)を行うので乳酸が増える。さらに樽で長期間熟成させる。それゆえ、MLFを行った樽熟ワインとの相性は、極めてよいのである。
 
さて、皆様も牛しゃぶを様々なソ−スに浸して、相性の良いワインと、楽しく味わってみては如何でしょう。


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